昇リ逝ク惰性

思いは擦れ違う。 だから募る。 枯れ果てる。 そして また擦れ違う。 正直口ばかりの奴は嫌いだった。 初めは誰もがそう思っていた。 なのに君の中で何かか形成され、 それに向かって一生懸命になっている。 その何かに嫉妬する自分がいた。 「兄ちゃん〜。何か食べて帰ろう〜。」 兎丸が猿野のユニフォームの端を引っ張った。 「悪いな。今日はちょっと用があるんだ。」 顔の前で小さく手を合わせ謝った。 「なぁんだ。残念〜。また今度絶対だよ〜。」 「あぁ、絶対な!」 「じゃぁ、司馬君は〜?」 司馬は、着替えの手を休めてこくんと頷いた。 「良かった〜。もうお腹ぺこぺこなんだ〜。」 兎丸はふんふん♪と鼻歌を歌いながら着替えた。 「それにしても用ってなぁに?もしかして」 ふふふと含み笑い。 「な、なんだよ。別に大したことじゃ」 いつになく慌てる猿野に 「そうなんだぁ〜」 と、にやける。 「何考えてるんだよ!」 必死に誤解を解こうとするのが余計に怪しい。 「べぇっつにぃ〜」 ユニフォームを畳みカバンに入れると 「司馬君帰ろう〜何食べようかな〜」 お先〜と帰っていってしまった。 猿野はあれはわざとだな?俺が行けないって言ったから あんな事言ったんだな畜生! と、舌打ちをした。 「猿野君いつからそんな人がいたっすか?」 もやもやと考えていると子津が話しかけてきた。 はっ、と我に返り振り返ると、子津はもちろん、 部員の多数が猿野を見ていた。 「へぇ、お前にもそういう奴がいるんだNa」 「異性に関心を持つ年頃故、伴侶の1人や2人」 「秘密もいつかはばれるのだ」 先輩達も完全に誤解してしまったようである。 「あ、いや、、、。その、、、。」 誤魔化すので、更に更に怪しい。 「今度紹介して下さいっす。」 とうとう話はこんな所まで来てしまった。 「だから!!誤解だ!!兎丸が勝手に、、、。」 子津はぽんと猿野の肩に手を置く。 「男らしくないっすよ猿野君。ここは潔く白状するもんっす。」 うんうんとみんなが頷く。 「あのぉ」 もう少しの所で犬飼が間を割った。 「今日俺鍵当番なんで早く出てもらってもいいっすか?」 残念〜という目で犬飼を見た。 「仕方がない。今度ゆっくりそのことを聞こうかな。部長命令だよ。」 牛尾は、ここぞとばかりに権限を使う。 それには猿野も抵抗できず 「まぁ、そのうち、、、。」 と、曖昧な返事をした。 ゾロゾロと部員達が出ていき、猿野もいそいそと支度を済ませる。 「お先っす。お疲れっす。」 子津もぺこっと頭を下げて帰ってしまった。 気付けば、猿野と犬飼の2人だけになった。 「早くできないのか?バカ猿」 「あぁっ。煩っせー!」 2人の会話はいつもこう。目が合えば啀み合い、 事があると喧嘩。今はそんな生活が当たり前になっていた。 ぐちゃっとユニフォームを丸め込み、カバンに入れ 制服のボタンもきちんとかけないまま慌ててロッカーを出る。 犬飼は横目で猿野の胸元をみた。 別に華奢ではないが、綺麗に浮き出る鎖骨が妙に色っぽい。 「じゃぁなっ」 猿野は前を向いたまま小さく手を振った。 いつもは言わないことに犬飼は耳を疑う。 今、確かに別れを言ったのは猿野である。 それも、自分に対してだ。 擦れた感情の端から小さく火が昇る。 ゆっくりとゆっくりと、、、。

なんちゅー中途半端な終わり方
意味のないタイトル(惰性の意味を調べたら
今までの習慣の意。こんなもの昇らん:笑)
本当はもっと長くしようと思ったんですけど、
私の中の犬飼くんが動いてくれない、、、。
しかもさりげなく兎馬だったりします(汗)。
猿総受に目醒める前に書いたんで。
なんか良いアイディア下さい、、、。
最後まで読んでくれて有り難う御座います。

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